時計を作ろう
■ 振玉
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振玉は50mmφ×160mm、重量約2.7kgの大物です。 |
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その中心に貫通穴を開けるのですが、私の旋盤で真っ当な方法では無理です。 |
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貫通穴の精度はさほど重要ではないので自作時計の大家John Wildingの手法で行います。 |
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先ずは下準備です。 |
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旋盤の往復台に適当な厚さの板を立て、そこに50mmφの大穴をあけるのです。 |
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手持ちのドリルを次第に大きくし、最後にボーリングヘッドにエンドミルを付けたもので拡径します。 |
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この板で振玉の片端を支え、穴開けを行います。摺動分にはたっぷりとオイルを注ぎます。 |
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恐ろしく長いドリルです。果たして真っすぐ貫通できるか心配です。 |
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無事に貫通穴を開け終え、竿に組み込んだ姿です。 |
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「基礎時計読本」に拠れば振子長の概ね1/700の移動で日差1分とあります(p139)。これから簡易計算をすると、 |
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振子長(1m)÷700＝1.43mm |
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振玉調整ネジのピッチが0.7mmですから、日差1分変化させるためにネジ2回転という事になります。実に好都合 です。 調整の為のインデックス作りが目的ですから厳密な整合性は問いません。 ネジ1回転で日差30秒になりま すから、CADで振玉の周長を30等分したインデックスを作って貼り付けました。 1目盛が 1[sec/day] で移動量は 0.023mmです。 |
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この状態で旋盤にセットします。今回は中心穴があいているので楽です。 |
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ネジ切り用のバイトを横倒しにして高さを合わせ、 |
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老眼対策のルーペをセットして、紙の上から直接彫り込みます。写真はちぎれた紙をはぎ取った後の様子です。 |
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彫り終えたら、真鍮素地のままでは酸化変色するため、ニッケルメッキを掛けます。 |
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サンドペーパーで磨きます。サンドペーパーのカスが旋盤のベッドに振りかからないよう新聞で養生しておきま す。 |
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めっき工房を使いました。 |
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ニッケルメッキは取説を読むとメッキの掛け初めの段階でムラが出ないようにするのがポイントであるとの記述 がありましたので、少々工夫しました。 |
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プラスティックのトレーに載せて回転させられるようにしました。回転させながらメッキ掛けをしていきます。 |
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メッキ液をかなりの量滴下して最初は満遍なく筆先を素早く全面に、次第にスピードを遅くしてメッキを掛けます。 |
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メッキを終えた様子です。 |
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この広い面積にしては上出来です。ムラがほとんど無く仕上がりました。 |
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次に彫り込んだ目盛に墨入れを行います。塗料を細筆先で流し込んで乾ききる前にはみ出た部分を溶剤で拭き 取りました。 |
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組み立てた様子です。 |
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■ 指針
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上記の目盛を読み取りやすくするために指針を作ります。 |
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先ずは5mm角のアルミ材を所要長さに切り、端面を仕上げます。 |
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センタードリルで位置を決め穴を開けます。 |
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マウント部分が出来上がりです。 |
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次に、指針そのものを作ります。3φのSUS304です。 |
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片側にはダイスでネジを立てます。 |
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反対側は針先です。旋削します。 |
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マウントに組みます。 |
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振子に組み込みます。 |
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目盛を非常に読みやすくなりました。 |
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