時計を作ろう
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前項で切り出した10Tと80Tの噛み合わせに関し考察します。 |
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●歯先形状について |
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80Tは円周精度・歯先形状共に満足のいく仕上がりに出来ました。 |
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一方、10Tは次の写真でも判るように歯先の頂部が偏っていました。カッターとブランクの芯がずれていたようで す。 |
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この影響について感触的考察を行います。 |
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●Depthing Toolについて |
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写真はDepthing Toolにセットした10T/80Tです。 |
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Depthing Toolとは、軸間距離を変化させ最適な噛み合わせを求め、その間隔を地板にケガく工具です。時計製 作には欠かせない工具です。 |
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●感触的測定について |
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写真のように、出来上がった歯車をセットして軸間距離を変えながら、回転させつつ最適な噛み合わせ状態を探 ります。回転させている時の指先の感触、発生する音などに神経を集中します。 |
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当然のことながら滑らかに回転する時には発生する音も最小になります（グラフ参照）。最も音が小さくなり、滑ら かに回転する軸間距離が最適値です。 |
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●感触的測定結果と考察 |
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歯先頂部が偏った10Tの影響が僅かながら出ました。 |
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イメージを伝えるためにグラフを描いてみました。 |
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グラフには２本の曲線が描かれていますが、回転方向によって滑らかさ（発生音）に違いが出ていることを示して います。従って、下の曲線の方が優秀な歯車ということになります。 |
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今回の歯車ではこの２本の差は僅かなのですが、音の差がわかります。 |
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頂部が偏っているため、回転方向によって80Tの歯に接触するのか衝突するのか、といった違いが生じているの ではないかと思われます。 |
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結局歯型頂部の偏りは解消することができました。 |
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極めて基本的な方法です。 |
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ロータリーテーブルからチャックを取り外し、固定センターを挿入しその先端でカッター位置を合わせました。 |
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見ているようで見たことが無い噛み合わせの動画を撮影しました。 |
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●12T/30Tの場合 |
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回転時の雑音が最小になる軸間距離に調整してあります。前述の最適軸間距離の通りです。 |
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常に2点で接触しながら回転しています。接触面で滑りが観察されます。そして、噛み合わせ箇所の歯間空隙か らバックラッシュが大きいことも理解できます。 |
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●10T/80Tの場合 |
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先の動画と同様に滑りが観察されます。カッター切削痕を乗り越えるように摺動していると思われますので、磨き 仕上げは伝達効率の向上と共に摩耗の低減に役立つのではないかと考えられます。 |
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ただし、今回製作の掛時計では効率向上は余り意味がなく、腕時計で駆動トルクが厳しい条件下での効果に留 まると思われます。 |
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