時計を作ろう
■ 補助ローラー
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重錘を吊るステンレスワイヤーの取り回しが上手く行きません。 |
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そこで、ワイヤーのルート変更をする補助ローラーを作ります。 |
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SUS303の板材を切削しコの字型の部品を作り、その中にローラーを保持します。 |
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12mmtの切削です。ケガキの為に青ニスを塗ります。 |
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先ずはローラーのシャフトが通る穴を開けます。 |
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次にコの字型に切削です。ラフィングエンドミルと水溶性切削液を使います。 |
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側刃のみで切削すると素晴らしい切れ味です。金属を切削する音が聞こえます。普通こんな音は機械音にかき 消されて聞こえません。振動も少なく非常に快適である証拠です。 |
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荒削りを終えたところです。 |
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仕上げ加工をして記念撮影。 |
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組み立てた様子です。 |
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表側にシャフトの穴が見えないところがポイントです。 |
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組み込んでしばらく稼働状態で観察を続けたところ、バレル上でワイヤーが解けると共にこのロ−ラー上でもワイ ヤー位置が移動する筈だったのですが滑らかに移動していないようです。 |
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ローラー表面を鏡面研磨すると滑らかに移動するかもしれませんが、担保がありません。 |
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古典を紐解くとこのローラーにもスパイラルを切って強制的に位置を動かす構造のものがありましたので、それ に倣うことにしました。 |
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先ずは必要なスパイラルピッチの計算です。 |
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バレル上でのワイヤー巻き幅：17.5mm |
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バレル直径：40mmφ |
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巻き数：14T |
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巻ピッチ：1.25mm |
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以上から、全ワイヤー長は1758mmです。 |
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このワイヤー長で補助ローラーが回転し、その際の移動が17.5mmになれば良いわけです。 |
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補助ローラー径：18mmφ |
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∴補助ローラー1回転でのワイヤー長＝18×3.14＝56.5mm |
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ここで、全ワイヤー長で補助ローラーの回転数は |
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1758÷56.5≒31T |
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補助ローラーに切るべきスパイラルピッチは |
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17.5÷31＝0.5623mm |
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を得ます。 |
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これを実現できるか？ |
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旋盤のネジ切り可能ピッチを見ると、メトリックで0.5mmです。 |
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その上下が0.4と0.7になってしまいます。 |
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もう少し近い値はないものかと見たところ、インチで44/1"がありました。 |
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これなら |
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25.4mm÷44＝0.5773mm |
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かなり近くなります。 |
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全ワイヤー長でのバレル上の移動が17.5mmに対し、補助ローラー上の移動は、理想ピッチとの差から補助ロー ラー1回転あたりのズレが |
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0.5773−0.5623＝0.015mm |
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となることから、これが31回転で |
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0.015×31＝0.465mm |
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となります。これなら許容できそうです。 |
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早速旋盤のセットアップです。 |
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ネジ切りギアをセットアップテーブルに従って組み合わせます。 |
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ネジ切りですからモーターは使いません。主軸に取り付けたハンドルで回します。 |
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組み合わせギア比に間違いがないか、先ずはテストピースでピッチの確認です。 |
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問題ありません。 |
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本番です。 |
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送り機構のバックラッシュに十分注意して切り込みます。 |
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テーブル送り位置が狂うといけないので、送りネジから解放できません。送りも戻しも全て手ハンドル操作です。 非常に疲れます。 |
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2時間ほどひたすらハンドルを回し夢中になって切り上げた様子です。 |
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完成記念写真です。 |
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組み込んだ様子です。 |
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ワイヤー位置も首尾良くスライドしています。 |
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これで完成です。 |
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