時計を作ろう
■ クリックスプリングの製作
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コハゼを押さえるスプリングを作ります。 |
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材料は炭素鋼S45Cの円柱です。 |
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まずは素材の切り出しです。 |
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バンドソウでおよそ30mm厚に切り取ります。 |
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次に旋盤で大まかな中繰りをします。 |
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偏芯させるために手前チャックに3㎜φのシャフトをかませてあります。 |
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フライス盤上にロータリーテーブルをセットし、旋削を終えたワークをくわえます。 |
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テーブルを回転させながら内外周をエンドミルで切削します。 |
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「ゼロ切込」で数回さらってカッターマークを落とします。 |
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アンカーとなる3mmφ×2本のネジ穴をあけます。最終的にリーマー仕上げにするので2.9㎜φであけます。 |
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10㎜φのエンドミルで側面を切削し、スプリング幅を2mmまでは0.3mm、2～1mmでは0.1mmの切込としました。 |
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最終的にはゼロ切込で二往復させ仕上げています。 |
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スプリング幅誤差は右アンカー(2個の穴)側と、左側先端部でデジタルノギスの分解能0.01mm以下でしたから、 私としては驚異的な精度です。 |
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厚さ2mmにスライスします。 |
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使ったのは0.3mmtのスリ割フライスです。 |
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次にロータリーテーブルを縦にセットし、末端を切断します。 |
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最初はスプリングの先端です。 |
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トラブルはここで発生しました。 |
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切断した瞬間、応力が解放され先端がハジけ、刃先に引っ掛かり、グニャリと曲がったのであります。 |
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しかし、焼きが入っていませんので、まだグニャグニャです。 |
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現物のラチェットにあてがいながら修正しました。 |
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何とかリカバーできました。 |
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アンカー端部をR仕上げします。 |
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ロータリーテーブル上で治具にセットして切削します。 |
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次に固定用のネジを作ります。意匠上沈めることにしました。 |
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ネジを沈めるには、頭の外径がアンカー部の幅(6mm)よりも小さく、ある程度の余裕が欲しくなります。 |
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M3皿ネジ頭の外径は約6mmでした。これを4.9㎜φにしてみます。 |
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6mmφの軟鉄シャフトに雌ネジを切った治具を作り頭を旋削します。使うのはSUS皿ネジです。 |
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横から見るとこうなります。緩めたところです。 |
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クリック・スプリングのアンカー部と厚み方向で並べるとこうなります。 |
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イメージをつかみ、5.0mmφのドリルで皿モミします。 |
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簡単にバリを取り除いて仮組みしました。 |
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思い通りになりました。 |
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次に、スプリングに焼き入れをしますが、その前に切り出した余りでテストピースを用意しました。 |
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焼き入れによる熱歪の様子を確認する必要があります。 |
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ガスレンジ上に断熱ボードを載せバーナーで加熱し、ドンブリの水中に放り込み急冷します。 |
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切り出した母材上に載せて歪みを観察します。 |
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スプリングとして使う分には全く問題ないことが解りました。 |
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本番の焼き入れ・焼き戻し作業を行った後、酸化被膜を除去して磨き上げ組み込んでみました。 |
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上出来です。 |
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保持スプリングの反発の様子、ラチェットの動作が判る動画をご覧ください。 |
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巻き上げ部はほぼ完成です。 |
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